●スピーカーは音の出口。それゆえ音質を左右する!
スピーカーは、オーディオシステムの中でもっともバラエティーに富んでいる。形や大きさ、構造など、実に多種多彩だ。しかも、オーディオシステムの中でもっとも重要な役割を担っているのが、他ならぬスピーカーなのだ。
アンプで増幅された電気信号を音として空気中に放出するのがその役割だが、そこには電気だけでなく、磁石の作用も関わっている。機械振動によってスピーカーの振動板が前後に揺すられ、それが空気に伝わることで音波となって私たちの耳に届くのである。
こうして見ると、スピーカーは他のオーディオ機器とは大きく異なる性質を持つ。つまり、電気信号を空気の振動に変える変換器という性質を持っているわけだ。
したがって、変換性能が音質や音色を左右するわけで、入力された電気信号をいかに忠実に機械振動に変換するかがキーポイントになる。
●理想的なスピーカーの条件とは?
では、変換の忠実度を高くするために、スピーカーにはどういった性能や条件が求められるかを考えてみよう。
2) 入力された電気信号に含まれていない音を出さないこと。つまり、ノイズや歪みを出さないこと。
3) 全周波数で大きさに差のない電気信号が加えられた時、特定の周波数の信号だけが大きく聴こえたり、小さく聴こえたりすることなく、できるだけ均一な音量に聴こえること。
4) 小さな電気信号でも大きな音が出せること。つまり、効率がいいこと。
以上のような要件が考えられるが、これらをパーフェクトに満たした完璧な変換精度を持つ完全無欠のスピーカーというのは、残念ながら存在しない。再生可能な周波数に限界があったり、エンクロージャー(スピーカーの箱)が僅かに共振してノイズを出したり(耳には感じ取りにくいが)、特定の周波数が大きく聴こえたりすることが多い。
言わばそうした部分がスピーカーの個性として音色や音質に現われ、音楽ジャンルの向き・不向きや音の好き嫌いを生み出しているのだ。
●スピーカーに構造や形式での善し悪しはない!デザインとサイズ、そして音質で選ぶべし!!
では、どんな点に注意して選べばよいか。冒頭でさまざまな構造や形式があると記したが、気に入った1台を見付ける時には、それはひとまず無視して構わない。
まずは予算。最高に気に入ったスピーカーが見つかったとしても、準備した金額の何倍もしたらがっかりするだけ。許容できる金額で最初におおよその篩をかけよう。
次は、想定している置き場所との兼ね合い。机の上なのか、本棚の中なのか、テレビの横なのか、床に置くのかといった点だ。せっかくデザインが気に入っても、机の上に大型スピーカーを置くわけにはいかない。また、床置きを前提とした大きさであれば問題ないが、小型スピーカーを床置きで使いたいケースでは何らかのスタンドが必要となる。さらには、部屋の雰囲気に合う外装や色、デザインも重要な要素。好みに応じてじっくり考えよう。
最後は、愛聴盤が心地よく聞こえるかどうかという音質・音色を見定めたい。
この時、製造メーカーや機種によって音楽ジャンルの向き・不向きも少なからずあるので、店員さんにアドバイスをもらってもいいだろ
う。
●価格帯別お薦めモデル
最後に、4つの価格帯で分類したお薦めモデルを紹介しよう。いずれも筆者は試聴済みだ。だいたいの音のイメージがつかめるワンポイントコメントも併記しておくので参考にしていただきたい。
*coneco.net 平均価格は3月25日現在のものです。
5万円〜6万円台
英国の気品とドイツの技術が融合した小型スピーカーのベストセラー機。ショー等で部屋に入った人が別の大きなスピーカーが鳴っていると勘違いするほどスケール感の大きな音が魅力。音楽ジャンルの選り好みもない。
- 高さ: 21.5cm
- 幅: 13.0cm
- 奥行き: 19.0cm
- 重量: 2.7kg
coneco.net 平均価格*:
\48,566
(ペア/税込み)
デノン久々のスピーカーのヒット作は、柔軟性と高剛性を両立させた2層振動板の採用が特徴。その堅牢さは、ロックの激しいビートも、重厚なクラシックの響きも、サイズを越えた鳴りっぷりで応えてくれる。
- 高さ: 25.7cm
- 幅: 15.7cm
- 奥行き: 23.4cm
- 重量: 5.2kg
coneco.net 平均価格*:
\56,082
(ペア/税込み)
10万円〜30万円
大手メーカーでスピーカー設計に長年携わっていたベテランエンジニアがこだわりを持って開発した小型2ウェイ。末尾にPがつくのは、外装をピアノブラック仕上げとし、仕様の一部変更による。プロの耳に応えた逸品。
- 高さ: 35.0cm
- 幅: 21.9cm
- 奥行き: 29.0cm
- 重量: 10.0kg
coneco.net 平均価格*:
\286,985
(ペア/税込み)
フロアースタンド型のベストセラーモデル。容積の余裕が朗々とした低音の表現力に感じ取れる。明るい光沢塗装はどんなインテリアにもマッチすることだろう。大型フラットテレビの横に設置してもサマになる。
- 高さ: 102.7cm
- 幅: 30.0cm
- 奥行き: 34.5cm
- 重量: 22.0kg
coneco.net 平均価格*:
\135,050
(ペア/税込み)
50万円超
大口径ウーファーとホーン型ドライバーユニットというJBL伝統のスタイルに、モダンなテイストを盛り込んだ最新モデル。ジャズやロック/ポップスが気持ち良く鳴る。奥行きも短く、設置性も柔軟だ。
- 高さ: 103.3cm
- 幅: 42.0cm
- 奥行き: 32.4cm
- 重量: 53.0kg
coneco.net 平均価格*:
\918,000
(ペア/税込み)
傾斜したエンクロージャーと曲面にカットされた前面が特徴的な3ウェイスピーカー。独自の2ウェイ同軸ユニットによる音の明瞭度とダブルウーファーの力強さが圧巻。明るいメイプル仕上げのバリエーションも登場。
- 高さ: 122.4cm
- 幅: 35.0cm
- 奥行き: 54.1cm
- 重量: 48.0kg
coneco.net 平均価格*:
\733,292
(ペア/税込み)
価格無制限
開発に10年を要した英国の専業メーカーの代表機。すべてのスピーカーユニットを同一素材で製作するというこだわりが見事。細部に渡ってお金のかかった内容と外装の美しさで、この値段はお買い得。オールマイティ。
- 高さ: 111.3cm
- 幅: 41.0cm
- 奥行き: 47.0cm
- 重量: 46.5kg
coneco.net 平均価格*:
\1,260,000
(ペア/税込み)
英国の老舗メーカーの上級機は、スタジオモニタースピーカー直系のハイファイサウンドを聴かせる。十二分に鳴らすには、アンプにも贅を尽くせばならないが、とりわけ大編成のクラシックは天晴れという再生音。
- 高さ: 113.5cm
- 幅: 36.8cm
- 奥行き: 56.3cm
- 重量: 80.0kg
coneco.net 平均価格*:
\1,638,000
(ペア/税込み)
次回は4月25日掲載予定です。お楽しみに!
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理工系大学卒業後、測定器エンジニア、雑誌編集者を経て現在はオーディオ&ビジュアル評論家。
自宅では業務用スピーカー(5本同一モデル)によるマルチチャンネル再生システムを組むなど業界きっての実践派として活躍する。
主な執筆誌は、Hi-Vi、ホームシアター、管球王国、ステレオサウンド(以上ステレオサウンド社)、CDジャーナル(音楽出版社)、日経エンタテインメント!/大人のロック!(日経BP社)など。
| CDプレーヤー | : Studer/A730 |
| DAC | : Weiss/MEDEA |
| プリアンプ | : Mark Levinson/No32L |
| パワーアンプ | : Jeff Rowland Design Group/Model201 |
| スピーカー | : PMC/MB1 |
| 他、多数。 |
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