●入力信号をコントロールし、スピーカーをドライブするのがアンプの役割だ
アンプとは、「アンプリファイアー(AMPLIFIER)」の略。すなわち「増幅するもの」 という意味。これは、CDなどに収録されている小さな音楽信号を耳に聞こえる音量まで大きくしてやることを指す。音楽信号を大きくしてスピーカーをドライブできる電気エネルギーまで高めるのもアンプの仕事だ。また、CDやチューナーラジオからの音楽信号を選択し、コントロールする役割も担っている。
細かく見れば、イコライザーアンプやプリアンプ、パワーアンプといったコンポーネントに分けることもできるが、ここではそれらをひとつの筐体に集約してまとめたインテグレーテッドアンプ、またはプリメインアンプを、アンプと呼ぶことにしよう。
●理想的なアンプの条件は?
スピーカーのような個性を発揮するわけでなく、CDプレーヤーのようなドライブメカニズムが内蔵されているのでもない。そんな地味な、いわば縁の下の力持ち的存在がアンプの立場といっていいかもしれない。しかし、最新テクノロジーや電気部品が反映されやすい部分であり、専業メーカーが自社の持てる技術やノウハウを傾注するコンポーネントが、アンプなのである。 では、どんな条件(諸特性)がアンプには望まれるのかを考えてみよう。
2) ひずみ率ができるだけ小さいこと。
3) 出力が大きいこと。ただし、スピーカーの出力とのバランスを重視して考える。
4) S/N比(dB)の数値が大きいこと。
この中で、1)と2)については説明しなくてもおおよその感じは掴んでいただけると思う。周波数特性が狭いと、入力された音楽信号が正しく伝送、増幅できずに、忠実度がそこで崩れてしまう。また、ひずみ率が大きいことも、元の音楽信号がゆがめらてしまうことを意味する。
3)に関しては、出力が大きいほど大きな音を出せることを意味するが、机の上で使っているような小さなスピーカーに、何百ワット(W)もの出力を持つアンプを組合せるのはオーバークォリティー、つまりナンセンスだ。現在使っている、あるいは組み合わせようと思っているスピーカーの最大出力をカタログや取扱説明書から調べ、その値を20%程度上回る出力を備えたアンプであれば、スピーカーを鳴らすパワーとしては十分だ。
4)は、アンプ内部で発生する雑音と、増幅される音楽信号の対比で、数値が大きいほど、音楽信号の大きさに比べて雑音が小さいことを意味する。つまり、S/N比が大きいほど、電気特性としては優秀ということができる。
現実的には、先に挙げた4項目の中で、3)を除いた3項目は、今日の水準からすればどのメーカーのモデルも問題になるレベルではない。むしろ尊重したいのは、次に紹介する操作感である。
●実際に操作してみることが大事! もちろんデザインも重視したい
オーディオ機器の中で最も触れる頻度が高いのは、実はアンプに他ならない。入力の選択や、バス/トレブルといった好みの音色の調整、音楽鑑賞時の音量調整などだ。最近はリモコン対応機が増えているとはいえ、ツマミやスイッチを操作する頻度は、他のコンポーネントに比べて圧倒的に多い。ボリュウム操作は回転させるタイプなのか、ボタンを押すアップ/ダウン式なのかといった点など、操作形態が自分の感覚に合うかどうかをしっかり見極めたい。
また、付帯機能もきちんと整理しておきたい。バス/トレブル等のトーンコントロールが備わっているのかどうか、録音出力端子は装備されているか、バランス入力端子は備わっているのか、出力メーターがあるかどうかなど。多機能なモデルは、価格にもそのコストが反映されると思っていい。つまり、多機能なモデルほど高額になる傾向があるので、自分にとって必要な機能とそうでない機能をはっきり選り分けよう。
デザインも重要で、ボリュウムノブが右にあるのか左にあるのか、表示部の色合いはブルーか赤かといった点も確認しておきたい。シルバー、ゴールド、ブラックといった外装色も含めて、他のコンポーネントとのデザイン上のマッチングも検討材料として考えておきたい点だ。

●価格帯別お薦めモデル
最後に、4つの価格帯で分類したお薦めモデルを紹介しよう。いずれも試聴済みのモデルなので、音がイメージできるワンポイントコメントも併記しておく。参考にしていただきたい。
*coneco.net 平均価格は4月25日現在のものです。
5万円〜6万円台
「ピュアハートオーディオ」という標語を掲げた上質のコンパクトオーディオシリーズのデジタルアンプ。32ビットSマスター・プロ方式を採用。簡単にいい音が実現できる付属マイクによる自動音場補正機能を活用したい。
- 幅: 28.0cm
- 高さ: 11.1cm
- 奥行き: 28.6cm
- 重量: 4.6kg
coneco.net 平均価格*:
\73,978
(税込み)
上級機で定評のオリジナルデジタル技術「VL DIGITAL」方式を採用。強力な電源部も相まって、クラスの水準を越えた鳴りっぷりのよさが魅力。内蔵フォノイコライザーアンプによるレコード再生音も優秀。
- 幅: 43.5cm
- 高さ: 12.4cm
- 奥行き: 34.4cm
- 重量: 7.3kg
coneco.net 平均価格*:
\36,842
(ペア/税込み)
10万円台
UHC-MOSシングルプッシュプルという、ここ数年デノンが推進しているアンプ技術を継承した純粋なアナログアンプ。2つのトランスの並列接続や堅牢なシャーシ構造の成果が、大型スピーカーも難なくドライブする。
- 幅: 43.4cm
- 高さ: 18.1cm
- 奥行き: 48.0cm
- 重量: 24.0kg
coneco.net 平均価格*:
\122,298
(税込み)
泣く子も黙る名球300Bをシングル接続とした管球式アンプ。ウォームな中にも、くっきりとした芯を感じさせる音。トロイダル型電源トランスや高品質ソケットなど、贅沢な部品を使用。赤いシャーシカラーも粋だ。
- 幅: 23.0cm
- 高さ: 18.5cm
- 奥行き: 40.0cm
- 重量: 11.5kg
coneco.net 平均価格*:
\131,536
(税込み)
30万円〜50万円
上級機のセパレートアンプのコンセプトを継承したベストセラーモデル。電流帰還アンプモジュールHDAMは、近年のマランツの肝となる回路。瞬時電流供給能力の向上が、ヴィヴィッドかつハイスピードな音に結実。
- 幅: 44.0cm
- 高さ: 16.5cm
- 奥行き: 44.4cm
- 重量: 26.0kg
coneco.net 平均価格*:
\307,990
(税込み)
独自のAAVA-II方式ボリュウムコントロールにより、回路のなお一層の安定動作を実現した人気モデル。出力メーターの装備やバランス伝送方式は、いわばアキュフェーズのお家芸だ。オプションボードも豊富に用意。
- 幅: 46.5cm
- 高さ: 17.1cm
- 奥行き: 42.2cm
- 重量: 21.7kg
coneco.net 平均価格*:
\358,312
(税込み)
価格無制限
パワーアンプが人気の米国メーカーが初めて手掛けたプリメインアンプ。上級機と同じスーパー・シンメトリック回路を搭載し、額面以上のパワー感、ドライブ感を実感させる音だ。バランス入力端子も2系統装備。
- 幅: 48.3cm
- 高さ: 17.7cm
- 奥行き: 49.2cm
- 重量: 27.3kg
coneco.net 平均価格*:
\664,950
(税込み)
純A級方式ならではの艶っぽさと高密度なサウンドを頑なに守る日本を代表するメーカーがラックスマン。その最上級プリメインアンプが本機。使用パーツはもちろん、操作フィーリングにまで高級感で溢れている。
- 幅: 46.7cm
- 高さ: 17.8cm
- 奥行き: 43.4cm
- 重量: 26.5kg
coneco.net 平均価格*:
\442,059
(税込み)
次回は5月25日掲載予定です。お楽しみに!
![]()

理工系大学卒業後、測定器エンジニア、雑誌編集者を経て現在はオーディオ&ビジュアル評論家。
自宅では業務用スピーカー(5本同一モデル)によるマルチチャンネル再生システムを組むなど業界きっての実践派として活躍する。
主な執筆誌は、Hi-Vi、ホームシアター、管球王国、ステレオサウンド(以上ステレオサウンド社)、CDジャーナル(音楽出版社)、日経エンタテインメント!/大人のロック!(日経BP社)など。
| CDプレーヤー | : Studer/A730 |
| DAC | : Weiss/MEDEA |
| プリアンプ | : Mark Levinson/No32L |
| パワーアンプ | : Jeff Rowland Design Group/Model201 |
| スピーカー | : PMC/MB1 |
| 他、多数。 |
![]()



このページを紹介する








coneco.net