第4回 CDプレーヤー篇

オーディオの司令塔、アンプをおろそかにするべからず

●今こそ、パッケージメディアで音楽を聴く愉しさを再確認したい

PCを経由してのダウンロード、すなわちメディアを介さずに配信によって音楽を楽しむ人が急増している。レコード会社各社も、そうした状況下でいかに契約アーティストの魅力を的確に伝えるか、あれこれと仕掛けを模索しながら、生き残りに必死だ。レコード会社の吸収合併といった音楽業界の再編も進んでいるし、大型レコード店でさえ厳しい過当競争を繰り広げている(米国の老舗チェーン、タワーレコードが一昨年倒産したことをご存じだろうか)

CDの売上は、ここ数年減少し続けている。音楽を楽しむ人口はむしろ増え、年齢層の幅も広がっているにも関わらず、こうした現象が続いているのは由々しき問題だ。改めてパッケージメディアを保有する喜びを多くの方に再確認し、実感してほしいものだ。アーティストの写真を見ながら、あるいはライナーノートや解説のレリーフを読みながら、音楽と向かい合う姿勢を大事にしたい。


●音の入口こそ、ハイクォリティーであることが非常に重要

スピーカーから出た音は、アンプによって増幅された音楽信号。その元は、CDプレーヤーが読み取った、12cmディスクに刻まれたデジタル信号である。したがって、その読取り精度に問題(読取りの漏れや誤りなど)があっては、後々の伝送、変換過程に齟齬が生じる。

つまり、CDプレーヤーのクォリティーが他のコンポーネント(アンプやスピーカー)に劣るようでは、そこがボトルネックとなり、オーディオシステム本来のポテンシャルが十分に発揮されないことになってしまう。それゆえ、CDプレーヤーのクォリティーは、後々の再生音を決定づける上で非常に重要である。

では、どんな要件がCDプレーヤーには求められるのだろうか。周波数特性やS/N比、歪率といったスペッ クはどのモデルも望まれる水準をクリアーしている今日、操作性がもっとも大事という他ない。実機に触り、トレイの挙動やボタンの配置などのフィーリングを確かめておきたい。

機能面で選ぶひとつの手掛かりとして、ここ数年のトレンドである「アップコンバート機能」というのがある。これは、CDに収録されたサンプリング周波数44.1kHz/ビット数16ビットの信号を、特殊なデジタル処理によってサンプリング周波数を高くし、ビット数を多くしてやるもの。メーカーや機種によってその方法も音質も微妙に異なるが、概ね細かな音がより生々しく聞こえ、音場感がより立体的に感じられることが多い。

また、近年HDD(ハードディスクドライブ)を内蔵したCDプレーヤーも増えてきている。これは、CDの音楽信号を一旦HDDに取り込み、再生時には回転や振動から開放された状態で、より理想的なコンディションで再生することを目指している。あるいは、ミュージックサーバー的な使い方で、たくさんの音楽をストックしておき、好きな順番で再生するためのものである。


●表示部の色やフロントパネルのデザインも大事だ

CDプレーヤーは、時間表示やトラック表示など、某かのインフォメーションを表示するディスプレイが必ず搭載されている。その大きさや色、文字のキャラクターなどは、デザイン全体のイメージを決定づける大きな要素なので、ぜひ実機を確認し、自分のシステムに組み入れた時に違和感がないかどうか確かめておきたい。例えば、アンプの表示がアンバー色なのに、CDプレーヤーが青色だったりするとアンバランスだ。また、表示部の明るさが調節できる「ディマー機能」を備えているかどうかも蔑ろにできないポイントである。

ディスクを装填する機構としては、トレイが前方に迫り出してくるトレイローディング方式がすっかり一般化した。その位置に関しては、フロントパネルの中央にあるもの、左側、または右側に寄っているものがある。筐体(シャーシ)の振動対策、デザイン的に左右対称となる中央配置、すなわちセンターメカニズムが、高級機の通例。

さらに高級機の中には、上面から蓋を開閉するようなトップローディング方式もある。また一方では、PCのメカニズムを使ったスロットイン方式もある。この辺りは好みの範疇といっていいだろう。

見落としがちな点は、トレイと操作ボタンの位置関係。トレイが開いている時、 小原氏愛用のStuder社製CDプレーヤー A730 操作ボタン類がトレイの下にレイアウトされていたら、オープン/クローズさえやりにくい。トレイの上に配されていたり、横に並んでいれば、まったく支障なく操作することができる。リモコンで行なえば造作のないことだが、確認しておいて損はない。

小原氏愛用のStuder社製CDプレーヤー A730

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●SACDという高音質フォーマットに対応したモデルは、より高品位な再生が可能

スーパー・オーディオCD(以下SACD)という言葉を聞いたことがあると思う。これは、CDよりもさらに高品位なディスクメディアで、同じ12cmのディスクの中に50kHzを超えるワイドレンジな音楽信号が記録されている。また、サラウンドサウンドにも対応している( 音楽のみで、映像は収録できない)。

提案されたのは10年ほど前になるのだが、残念ながら広く普及するには到っていない。ソニーを含めた大手レコード会社の多くが新譜でのサポートをほぼ止めてしまっており、日本や欧米の一部レコード会社が継続しているのみという状況だ。しかし、3000タイトル以上がリリースされ、そのほとんどはCD層を持ったハイブリッドディスクなので、CDプレーヤーでも再生可能だ。また、SACD対応プレーヤーも、様々なメーカーから発売されている。


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●価格帯別お薦めモデル

最後に、4つの価格帯で分類したお薦めモデルを紹介しよう。
SACDが再生可能な機種も数多く含まれているので、参考にしていただきたい。

*coneco.net 平均価格は5月26日現在のものです。

5万円〜6万円台

ソニー SCD-X501
ソニー SCD-X501

SACDがこの価格で再生可能という点に注目。しかもサラウンド出力にも対応だ。並列使用の1ビット方式D/Aコンバーターがクリアーで立体的な音楽表現を達成している。着脱式電源ケーブルで、高級品にも交換可能。

  • 幅: 28.0cm
  • 高さ: 11.1cm
  • 奥行き: 26.7cm
  • 重量: 3.9kg

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
\70,350
\59,133
(税込み)
(税込み)


パイオニア PD-D6
パイオニア PD-D6

高精度マスタークロックによる低ジッター回路など、パイオニアならではの技術が満載。独自の「レガートリンクコンバージョンPRO」回路により、楽器や声の質感が生々しく再現される。本機もSACDの再生に対応。

  • 幅: 42.0cm
  • 高さ: 10.0cm
  • 奥行き: 34.0cm
  • 重量: 5.5kg

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
\80,000
\59,271
(税込み)
(税込み)


10万円台前半

デノン DCD-1650AE
デノン DCD-1650AE

「アドバンスドAL24プロセッサー」は、マニアの間で定評の、デノン独自の高音質テクノロジー。デジタル/アナログ完全分離の電源トランスや高剛性シャーシがもたらすがっちりしたサウンドは唯一無二。SACD対応。

  • 幅: 43.4cm
  • 高さ: 13.7cm
  • 奥行き: 33.5cm
  • 重量: 13.3kg

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
\157,500
\122,301
(税込み)
(税込み)


CEC CD5300
CEC CD5300

日本よりむしろ海外で評価の高い日本メーカーのベストセラーモデル。完全バランス信号処理など、大がかりな回路の随所に高音質パーツを投入し、クラスを超えたワイドレンジで濃密なサウンドを実現している。

  • 幅: 43.5cm
  • 高さ: 31.0cm
  • 奥行き: 11.5cm
  • 重量: 8.5kg

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
\120,750
\100,800
(税込み)
(税込み)


10万円台後半〜20万円台

マランツ SA-13S1
マランツ SA-13S1

非磁性体トップカバーや銅メッキシャーシ、強力な電源部など、上級機譲りのメソッドを惜しみなく投入しているのがセールスポイント。SACDならではのワイドレンジな音をクリアーに再現するオリジナル回路にも注目。

  • 幅: 44.0cm
  • 高さ: 12.7cm
  • 奥行き: 41.9cm
  • 重量: 14.8kg

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
\262,500
\231,391
(税込み)
(税込み)


ヤマハ CD-S2000
ヤマハ CD-S2000

D/Aコンバーターから出力端子までをバランス伝送とすることで、透明感の高いサウンドを実現。デジタル/アナログ完全分離の電源回路を採用。ドライブメカのスムーズな動作も見逃せない。SACD対応。

  • 幅: 43.5cm
  • 高さ: 13.7cm
  • 奥行き: 44.0cm
  • 重量: 15.0kg

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
\208,950
\154,582
(税込み)
(税込み)


価格無制限

エソテリック X-01 D2
エソテリック X-01 D2

ディスクの振動を抑制し、高精度な信号の読取りを達成した独自のVRDS-NEOメカニズムを採用した、エソテリックの一体型の最高級機。聞き慣れたディスクからかつて聴いたことのない音が聴けること必至。SACD対応。

  • 幅: 44.2cm
  • 高さ: 15.3cm
  • 奥行き: 35.3cm
  • 重量: 25.0kg

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
\1,470,000
\1,470,000
(税込み)
(税込み)


アキュフェーズ DP-500
アキュフェーズ DP-500

独自開発のCD専用メカニズムを搭載。DAC回路を4つ並列駆動とした「MDS++変換方式」は、CDとは思えない情報量豊かなサウンドを味わわせてくれる。SACDは非対応だが、究極のCD再生を目指した逸品。

  • 幅: 46.5cm
  • 高さ: 15.0cm
  • 奥行き: 39.3cm
  • 重量: 16.6kg

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
\417,900
\417,900
(税込み)
(税込み)


次回は6月25日掲載予定です。お楽しみに!

小原由夫プロフィール

小原由夫(おばら よしお)
理工系大学卒業後、測定器エンジニア、雑誌編集者を経て現在はオーディオ&ビジュアル評論家。
自宅では業務用スピーカー(5本同一モデル)によるマルチチャンネル再生システムを組むなど業界きっての実践派として活躍する。

主な執筆誌は、Hi-Vi、ホームシアター、管球王国、ステレオサウンド(以上ステレオサウンド社)、CDジャーナル(音楽出版社)、日経エンタテインメント!/大人のロック!(日経BP社)など。
主な使用機器 (オーディオ用 1/22現在)
CDプレーヤー: Studer/A730
DACWeiss/MEDEA
プリアンプMark Levinson/No32L
パワーアンプJeff Rowland Design Group/Model201
スピーカーPMC/MB1
他、多数。

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