●根強いファンに支持され続けたレコードが、いままた見直されている
1982年に登場したコンパクトディスク(CD)は、あれよあれよという間に当時のオーディオソースの主役であったレコードを駆逐し、1986年には遂に生産量でレコードのそれを上回った。曲の頭出しが容易で、取り扱いも楽、ディスクのサイズもぐっと小さくなり、CDプレーヤーの低価格化が急速に進んだこともあって、CDは一気に広がったのである。
一方で、レコードの生産は年々激減。アナログオーディオ関連機器をリリースしていたメーカーや輸入商社のほとんどが、そうした市場動向を受けて開発や販売を中止したり、事業規模の縮小を図った。中には、アナログオーディオ専業だったことから止むなく会社の解散・倒産に至るケースもあったくらいだ。
しかし、90年代以降も、まさしく細々とではあるが、アナログオーディオは根強いファンに支持されて生き長らえてきた。アナログならではの音質だけでなく、32cm四方のLPジャケットのアートとしての魅力を再認識する人など、ジワジワとファンが増え(戻り?)、ここ数年は一般誌でもその独特の味わいをさまざまな角度から紹介するほどになった。ここまでくると、アナログはもはや完全な復権を果たしたとみていい。業界関係者の中には、「CDは音楽配信によって滅びるかもしれないけれど、レコードの文化は根強く残るに違いない」と言い切る人までいるのだ。
●デジタルでは出せないアナログオーディオ固有の音の魅力
では、そんなアナログならではの魅力とは何だろう。音の溝についたキズやたまったチリ、ホコリのせいで、ピチピチ、パチパチという音がするにも関わらず、なぜレコードの音に惹かれるのか。
レコードならではの温かみのある音、あるいは音の密度感を指摘する人が多い。しかし、一言で温かみと言っても人によって捉え方は異なるし、カートリッジやフォノイコライザーアンプとの組み合わせ次第では、温かみの感じられない鋭い音になるケースもある。
私が思う、アナログならではの音の魅力とは、音楽が勢いよく飛んでくることだ。活きがいいと表現してもいいかもしれない。整っていてクリアーなCDの音に比べると、どことなく粗削りな感じを受けるかもしれないが、その粗野な感じがCDにはないアナログの魅力といえよう。
また、より入念にセッティングしてやることで、アナログの音はどんどんよくなる。本体の水平やハウリング対策、トーンアームの調整やカートリッジの取付け角度など、微妙な要素の変化が再生音に直結するのが、アナログオーディオのおもしろさだと指摘する人も多い。
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●復刻盤や新録音など、レコードも潤沢にリリースされている
せっかくハードウェアは揃えても、レコードがなければ楽しめない。昔から所有していたレコードだけでなく、他に新しいレコードも聴きたいという人は少なくないだろう。
大手レコード会社のユニバーサルミュージックは、昨年ロックの名盤を中心に、ジャズやクラシックを含めて100タイトル余りのLPを復刻している。また、コロムビアミュージックエンタテインメントも、美空ひばりからクラシックまで、幅広いジャンルのレコードを重量盤仕様で定期的にリリースしている。海外のインディペンデント系レコード会社にいたっては、独自の視点から高音質レコードを生産・発売しており、大型輸入レコードショップなどで購入することができる。
街のレコード店からレコードが消えて久しいが、あなたの街にきっとひとつやふたつは中古レコード店があるはずだ。足繁く通えば、そうしたショップで思いもかけぬレコードに出会うことがある。また、熱心なショップの中にはホームページ等を開設し、通信販売を受け付けているところも少なくない。ぜひこまめにチェックしていただきたい。
また、amazon等の大手ネットストアなどでも、新譜/中古のレコードが購入できるので、チェックしてみてはいかがだろうか。
●お薦めモデル
今回のお薦めモデルは、価格帯別ではなく、プレーヤー、カートリッジ、フォノイコライザーアンプという、アナログオーディオを構成する製品カテゴリー毎で推薦できる機種を挙げてみた。そうはいっても、アナログプレーヤーに関しては非常に幅広いラインナップが市販されているので、これからアナログを始めたいという方にとって、このクラスの製品を買えば間違いないというものを「エントリークラス」、既に十分なスキルをお持ちの方や、もう一度アナログオーディオを再開したいという方に見合ったモデルを「ミドルクラス」として推薦した。
*coneco.net 平均価格は6月24日現在のものです。
アナログプレーヤー エントリークラス
乳白色のアクリル整キャビネットと、アルミダイキャストターンテーブルのコンビネーションが美しいモデル。スタントン社のMM型カートリッジが付属しているので、レコード針を別途買い揃える必要はない。
- 幅: 50.4cm
- 高さ: 13.65cm
- 奥行き: 39.75cm
- 重量: 10.4kg
coneco.net 平均価格*:
(税込み)
先代モデルとの差異は、天然木突き板仕上げのキャビネットを採用し、一層の高剛性化を図った点。二重構造大型ターンテーブルは素早い起動を実現しており、高さ調整が可能なトーンアームもたいへん使いやすい。
- 幅: 49.0cm
- 高さ: 17.8cm
- 奥行き: 40.0cm
- 重量: 14.5kg
coneco.net 平均価格*:
(税込み)
アナログプレーヤー ミドルクラス
ユーザーが好みに応じて内容を決めるオリジナル機に対し、あらかじめ電源ユニットを内蔵し、プロジェクト社製トーンアームとADIKT/MMカートリッジを搭載した完成型モデル。滑らかで温かみのある音は唯一無二。
- 幅: 44.5cm
- 高さ: 14.0cm
- 奥行き: 35.6cm
- 重量: 10.0kg
coneco.net 平均価格*:
(税込み)
英国の老舗メーカーの代表的モデル。フローティング方式シャーシを用い、駆動方式はベルトドライブ。バランスウェイトを備えたターンテーブルの回転を見ているだけで楽しい。重心の低い安定したサウンドが魅力。
- 幅: 49.0cm
- 高さ: 13.5cm
- 奥行き: 37.5cm
- 重量: 10.0kg
coneco.net 平均価格*:
(税込み)
カートリッジ
定番中の定番といえるDL-103のバリエーションモデルとしては、最も息が長いのが本機。コイルに高純度6N銅線を使用している以外は、基本的にオリジナルを踏襲。伸びやかな音で、現代的な録音にはこちらが合う。
- タイプ: MC型
- 出力電圧: 0.25mV
- 針圧: 2.5±0.3g
coneco.net 平均価格*:
\25,243
(税込み)
海外向けモデルの逆輸入品。1987年に発売されたAT-OC9がベースで、金蒸着ボロンカンチレバー、PCOCCコイルなど、オーディオテクニカ自慢のマテリアルを贅沢に使用している。繊細だが、パンチもある音。
- タイプ: MC型
- 出力電圧: 0.4mV
- 針圧: 1.25〜1.75g (1.5g標準)
coneco.net 平均価格*:
(税込み)
ローインピーダンスMC型として人気の高い原型のP-3に対し、マグネットの変更を含めた磁気回路の改善を実施。ワイドレンジ感とダイナミックな表現力は、近年の国産カートリッジの中でも屈指の出来栄え。
- タイプ: MC型
- 出力電圧: 0.27mV
- 針圧: 1.7〜2.0g
coneco.net 平均価格*:
(税込み)
フォノイコライザーアンプ
CR型イコライザー回路という、コスト高で回路も複雑になる構成を、敢えて音のために採用したというモデル。密度が高く、パワフルな中音域が特色。フォノイコライザーは初めてという人に的確。MC/MMに対応。
- 幅: 11.7cm
- 高さ: 17.0cm
- 奥行き: 23.6cm
- 重量: 2.2kg
coneco.net 平均価格*:
(税込み)
MC/MM完全独立4アンプ構成という贅沢な内容のモデル。インピーダンス切替え部に設けられた「アーティキュレーターポジション」がユニークで、再生音楽の信号電流とカートリッジとをマッチングさせるというもの。
- 幅: 46.7cm
- 高さ: 8.2cm
- 奥行き: 40.4cm
- 重量: 9.0kg
coneco.net 平均価格*:
(税込み)
次回は7月25日掲載予定です。お楽しみに!
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理工系大学卒業後、測定器エンジニア、雑誌編集者を経て現在はオーディオ&ビジュアル評論家。
自宅では業務用スピーカー(5本同一モデル)によるマルチチャンネル再生システムを組むなど業界きっての実践派として活躍する。
主な執筆誌は、Hi-Vi、ホームシアター、管球王国、ステレオサウンド(以上ステレオサウンド社)、CDジャーナル(音楽出版社)、日経エンタテインメント!/大人のロック!(日経BP社)など。
| CDプレーヤー | : Studer/A730 |
| DAC | : Weiss/MEDEA |
| プリアンプ | : ソウリューション/721 |
| パワーアンプ | : パワーアンプ:ソウリューション/710 |
| スピーカー | : Pioneer/TAD Reference One |
| 他、多数。 |
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