第6回/ヘッドホン篇

●オーディオの花形は、いまヘッドホン

iPodの爆発的普及に伴い、ヘッドホン市場がにわかに活気づき始めたのが、いまから4、5年前になるだろうか。以来ファッションのトレンドとリンクしたり、クラブDJの動向と連携したことから、アウトドアやストリートでのヘッドホンの稼動率/着用率は飛躍的に上がった。

一方では、ロックアーティストやミュージシャンがステージでの音のモニター用としてインイヤータイプのカナル型ヘッドホン(イヤフォン)を使い始めたことで、それを真似る一般消費者が急増した。耳の奥まで差し込むタイプのモデルが現在バラエティに富んでいるのは、そうした背景が多分に影響している。

iPodに代表される携帯音楽プレーヤーやDAP(デジタルオーディオプレーヤー)を購入すれば、大概はヘッドホンは付属してくる。しかし、それに飽き足らない音楽ファンや、音にこだわって純正以外のヘッドホンを使う人が増えている。これは非常にいい傾向だと思う。たとえiPodであろうと、音にこだわる人が増えれば、オーディオ市場の活性化につながると思うのである。


●ヘッドホンに凝る理由はそれぞれ

ヘッドホンと一言でいっても、実はさまざまなタイプがある。頭頂部から装着するオーバーヘッドタイプのヘッドホンを例として取り上げても、大別して密閉型とオープン型(オープンエア型)があり、音質傾向は双方で大きく異なる。密閉型は細かな音を聴き取るようなモニタリングには適しているが、外の音が聞こえにくく(音も漏れにくい)、こもりがちの音に感じる人も少なくない。一方のオープン型は、音が外部に漏れやすく、また周囲の音も聞こえるが、開放的で伸びやかな音に感じられる。

ヘッドホンで聴くと音楽に没入できるという意見や、経済的な事情から高価なスピーカーが買えず、大きな音が出せる部屋もないので、代わりにヘッドホンに贅沢をしているという人も少なくない。また、スピーカーよりもヘッドホンの方が細かな(微かな)音が聴き取りやすいと指摘する人もいる。つまり、懐事情だけでなく、環境やスペース的な制約からヘッドホンにこだわる人が意外と多いのである。

大がかりなサラウンドシステムを持てないという人の中には、手軽にサラウンドが楽しめるということで、サラウンドヘッドホンを愛用する人も増えている。この類のモデルはほとんどがワイヤレス方式なので、ケーブル長に左右されずに、自由な距離(位置)やスタイルで音楽ソフトや映画を楽しんでいるのだ。


●選ぶ際には、音質だけでなく、装着感も忘れずチェックしたい

音を出す部分だけに、自分の好みの音質かどうかという点はもっとも重要だ。しかし、実際に身につけて歩いたり、人目に曝される機会が多くなるので、他にチェックしておくべきことは思いのほか多い。

オーバーヘッドタイプならば、ヘッドバンド部分のホールド感やイヤーパッド部分の圧着感がどうかという点が重要だ。インイヤータイプでは、耳孔(耳の穴)に押し込んだ時の違和感の少なさなどをチェックしたい。こうした要件は、長時間装着したままでも疲れないとか、圧迫感が少ないから痛くないといった点が重要である。

できれば、実際に現物を装着して鏡を見てみるといいだろう。自分のヘアースタイルとのマッチング、ヘアカラーとのコーディネイト、頭の大きさや耳のサイズとのバランスなども要チェックだ。カラーバリエーションのあるモデルなどはなおさら見ておきたい。何しろ着けている姿は自分からは見えないし、ファッション的センスも問われる部分なので、ぜひ確認しておきたいところだ。

もうひとつたいへん重要なことは、使いたい機器とのマッチングの問題。専門的には「インピーダンスマッチング」といって、機器のヘッドホン端子に接続された内蔵アンプの電気的特性と、ヘッドホンが持っている電気的特性の関係上、音質や音量が微妙に変化してくるのだ。使うのが主に携帯音楽プレーヤーならば、購入時に持参して実際に組合せて聴かせてもらうことをお薦めする。


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●カテゴリー別お薦めモデル

今回は価格帯で区切ってお薦めモデルを選出するのではなく、タイプ別にセレクトしてみた。ぜひ参考にしていただきたい。

*coneco.net 平均価格は7月25日現在のものです。

オーバーヘッド型

ソニー MDR-CD900ST
ソニー MDR-CD900ST

プロご用達の密閉型モデル。開発段階からミュージシャンやスタジオ関係者の意見を採り入れたというサウンドは、微細な音の実在感や明瞭さが魅力。ステレオ標準プラグなので、ポータブル機で使うには変換プラグが必須。

  • 重量: 約200g (ケーブル含まず)

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
\18,900
\17,620
(税込み)
(税込み)


AKG K272HD
AKG K272HD

マイクで有名なドイツのメーカーのスタジオユースモデル。ヘッドバンド部の圧迫感の少なさ、イヤーパッドのフィット感のよさから長時間使用でも疲れない。密閉型にしては、オープンでワイドレンジなサウンドも吉。

  • 重量: 約240g (ケーブル含まず)

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
オープン価格
\38,146

(税込み)


インイヤー型

ビクター HP-FX500
ビクター HP-FX500

ウッドドーム型振動板を使った本格的なダイナミック型イヤフォン。ハウジング部にも天然木材が使われているのがビクターらしい。ナチュラルな楽器の質感、ワイドレンジなエネルギー感は、この種のモデルでは出色。

  • 重量:約7.5g (ケーブル含まず)

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
オープン価格
\12,110

(税込み)


シュアー SE310-A-J (ホワイト×ブラック)
シュアー SE310-A-J (ホワイト×ブラック)

カナル型で定評のあるシュアーの中堅モデル。バランスドアーマチュアユニットはシングル使用だが、チューンドベースポートによって低音の量感をしっかり聴かせる。最先端のロックやポップスに最適なトーンに感じる。

  • 重量:約12g (ケーブル・コネクタ含む)

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
オープン価格
\30,714

(税込み)


ノイズキャンセリング

オーディオテクニカ ATH-ANC7
オーディオテクニカ ATH-ANC7

外部の音を85%以上カットすることに成功したという独自の消音方式を採用する。万が一電池が切れた場合でも、通常のヘッドホンとして使えるスルー機能がセールスポイント。ワイドな周波数レンジで、分解能も高い。

  • 重量:約200g (電池・ケーブル含まず)
  • 動作時間:約40時間

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
オープン価格
\20,241

(税込み)


BOSE Quiet Comfort 2
BOSE Quiet Comfort 2

ノイズキャンセリングタイプの草分け的存在。豊かな低音とがっちりとした骨格のある中音域が好ましい。もちろんノイズキャンセリング効果も抜群だ。金メダリスト/荒川静香が使っていたことで一躍人気が出た。

  • 重量:約170g (電池・ケーブル含まず)
  • 作時間:約38時間

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
\41,790
\41,790
(税込み)
(税込み)


サラウンド

パイオニア SE-DRS3000C
パイオニア SE-DRS3000C

ドルビーヘッドホンを採用した2.4GHz帯無線コードレス。48ビットプロセッシングによる高音質と、スタンドに乗せるだけで充電が始まる利便性が売り。ダイナミックレンジが広く、オープンなサラウンド感が楽しめる。

  • ヘッドホン部重量:約350g
  • 動作時間(フル充電時):約7時間

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
オープン価格
\35,775

(税込み)


オーディオテクニカ ATH-DWL5000
オーディオテクニカ ATH-DWL5000

2.4GHz帯無線コードレス方式の高級機。アナログ6ch入力端子も装備しているので、SACDプレーヤーやBDプレーヤーとの組み合わせも可能。広がりや方向感、包囲感が実感できるサラウンドで、装着感も良好だ。

  • 幅: 46.7cm
  • 高さ: 8.2cm
  • 奥行き: 40.4cm
  • 重量: 9.0kg

メーカー希望小売価格:
coneco.net 平均価格*
\120,750
\80,906
(税込み)
(税込み)


次回は8月25日掲載予定です。お楽しみに!

小原由夫プロフィール

小原由夫(おばら よしお)
理工系大学卒業後、測定器エンジニア、雑誌編集者を経て現在はオーディオ&ビジュアル評論家。
自宅では業務用スピーカー(5本同一モデル)によるマルチチャンネル再生システムを組むなど業界きっての実践派として活躍する。

主な執筆誌は、Hi-Vi、ホームシアター、管球王国、ステレオサウンド(以上ステレオサウンド社)、CDジャーナル(音楽出版社)、日経エンタテインメント!/大人のロック!(日経BP社)など。
主な使用機器 (オーディオ用)
CDプレーヤー: Studer/A730
DACWeiss/MEDEA
プリアンプソウリューション/721
パワーアンプパワーアンプ:ソウリューション/710
スピーカーPioneer/TAD Reference One
他、多数。

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