
2008年はRADEON HD 4800シリーズの発売によってビデオカード市場の勢力図が大幅に塗り替わった。
そのインパクトがあまりにも大きかったため印象が薄くなりがちだが、
補助電源が不必要で環境を選ばないエントリーミドルクラスでも劇的な転換があった。
今回はその同セグメントに位置付けることができる各世代のGPUのパフォーマンスを再確認し、
HDコンテンツの増加により徐々に有用性が高まってきた動画再生支援機能についても比較検証する。


検証に使用したビデオカードのスペックと発売当時の価格
| RADEON HD 2600XT | RADEON HD 3650 | RADEON HD 4670 | GeForce 9500GT | GeForce 8600GT | |
| コアクロック | 800MHz | 725MHz | 750MHz | 550MHz | 540MHz |
| メモリークロック | 1.4GHz相当 | 1.6GHz相当 | 2.0GHz相当 | 1.6GHz相当 | 1.4GHz相当 |
| インターフェイス | PCI-E 1.1 | PCI-E 2.0 | PCI-E 2.0 | PCI-E 2.0 | PCI-E 1.1 |
| DirectX対応 | 10 | 10.1 | 10.1 | 10 | 10 |
| 使用製品 | SAPPHIRE 11110-00-20R (GDDR3 256MB) |
SAPPHIRE 11127-04-20R (GDDR3 512MB) |
GIGABYTE GV-R467D3-512I (GDDR3 512MB) |
GALAXY GF P95GT/512D3 (GDDR3 512MB) |
ASUS EN8600GT/HTDP/512M (DDR3 512MB) |
| 発売時価格(※1) | 16,248円 | 14,980円 | 10,800円 | 9,780円 | 19,280円(※2) |
| 発売時期 | 2007年7月 | 2008年2月 | 2008年10月 | 2008年8月 | 2007年8月 |
(※1) 「AKIBA PC Hotline!」で紹介された発売当時の最安値。 (※2)姉妹モデルのDDR3 256MB版の発売時価格。

RADEON HD 4850(上)とRADEON HD 4670(下)
今回はATIの「RADEON HD 4670」「RADEON HD 3650」「RADEON HD 2600XT」、NVIDIAの「GeForce 9500GT」「GeForce 8600GT」を
搭載する5種類の製品を比較する。この5製品に共通する特徴は、
それぞれの世代において補助電源が必要ない最上位GPUを搭載していることになる。
補助電源が不必要なビデオカードは同じ世代の補助電源が必要なビデオカードに比べてパフォーマンスは劣るが、
逆にカード長が短く発熱も低いので導入に際する制約が少なく、価格もリーズナブルであることをメリットとする。
テスト環境
| CPU | AMD Athlon 64 X2 6000+ (3.1GHz) |
|---|---|
| マザーボード | GIGABYTE GA-MA790GP-DS4H |
| 電源 | ENERMAX MODU82+ EMD425AWT |
| メモリー | Corsair TWIN2X2048-6400C4 |
| HDD | WD Caviar GP WD5000AACS |
| 光学ドライブ | アイ・オー・データ BRD-SM4B |
| CPUクーラー | サイズ SHURIKEN |
| モニター | 三菱電機 VISEO MDT242WG |
| OS | Windows Vista Home Premium 32bit SP1 |
| BIOS | F1 |
| ドライバ | Catalyst 8.10,ForceWare 178.24 |
ビデオカード以外のPCパーツは同一個体の上記構成でテストした。 この構成はコストパフォーマンスと低消費電力志向の構成で、アイドル時の消費電力は38Wだった。

以下のグラフは、パソコンのゲーム実行性能の目安になるメジャーな6ソフト12種類のスコアをそれぞれ計測し、 GeForce 9500GTのスコアを100%の基準値として作成した。各スコアの絶対値は棒グラフ内の左端、 相対値は棒グラフの右側に記載し、画面の解像度以外は各ソフトで設定されているデフォルトの設定で計測した。
なお、検証に使用した「RADEON HD 4670」「RADEON HD 3650」「GeForce 9500GT」搭載ビデオカードの メモリがGDDR3 512MBであるのに対し、「RADEON HD 2600XT」はGDDR3 256MB、「GeForce 8600GT」はDDR3 512MBで、 メモリの仕様に違いがあることを念頭においてスコアをみていただきたい。
3DMark06 Score

3DMark06 SM 2.0 Score

3DMark06 SM 3.0 Score

モンスターハンター フロンティア オンライン ベンチマーク

ロスト プラネット エクストリーム コンディション 体験版 DirectX 10 Snow

ロスト プラネット エクストリーム コンディション 体験版 DirectX 10 Cave

DEVIL MAY CRY 4 ベンチマーク DX10 SCENE1

DEVIL MAY CRY 4 ベンチマーク DX10 SCENE2

DEVIL MAY CRY 4 ベンチマーク DX10 SCENE3

DEVIL MAY CRY 4 ベンチマーク DX10 SCENE4

「ガンダムタクティクスオンライン」ベンチマーク 3D High

ゆめりあベンチマーク

12種類のテストすべてにおいてRADEON HD 4670が最も良いスコアとなった。これはすでに各種レビューサイトで検証されていることなので 予想通りの結果であるが、世代間でのスコアの上昇率をみると、RADEONは3600シリーズから4600シリーズの間でパフォーマンスが 飛躍的に上昇していることがわかる。

アイドル時とロード時の消費電力

上のグラフはパソコン本体のアイドル時の消費電力と、3DMark06の冒頭のシーンの実行時の最大消費電力を、
ワットチェッカーで目視で確認した値である。これも先のゲームベンチマークの結果と同様に、
RADEON HD 4670がアイドル時とロード時の両方で最も優れた結果となった。
参考までに、ビデオカードを使わずにGA-MA790GP-DS4Hに搭載されているAMD 790GXでオンボード出力した場合の
アイドル時の消費電力は38Wだったので、最も消費電力が低かったRADEON HD 4670だとオンボード時と比較してアイドル時で+14Wとなる。

現行世代のRADEONやGeForceにはHD動画の再生処理の一部をCPUの代わりにGPUでおこなう動画再生支援機能が搭載され、 動画再生支援機能に対応した動画再生ソフトを使用すると、HD動画再生時のCPUの負荷を低下させることができる。

UVD2有効時(左)とUVD2無効時(右)
右の画面キャプチャーは、RADEON HD 4670のUVD2と呼ばれる動画再生支援機能を有効にした場合と無効にした場合のCPU使用率の推移で、
SONYのHDR-SR12で撮影したH.264/MPEG-4 AVCのフルHD動画を
PowerDVD 8 Ultraを使って再生している。
動画再生支援機能を使うメリットはCPUの負荷を下げることだけではなく、
動画再生時のパソコン本体の消費電力を下げる効果もある。
上の動画再生時にUVD2を有効にした場合と無効にした場合の最低消費電力はそれぞれ72Wと115Wで、
動画再生支援機能を使ってHD動画を再生すると43W消費電力が低下した。
下の表は、3種類のフルHD動画をPowerDVD 8 Ultraで再生した時の平均CPU使用率と、動画A再生中に記録した最低消費電力である。 GeForceよりRADEONの方がCPU使用率が全体的に低いようにも見えるが、 動画再生中にバックグラウンドで働いている他のプロセスの影響を受けることも考えられるので、 はっきりとそう言いきることは難しい。 この結果を見て言えることは、検証に使用した5種のビデオカードはすべて動画再生支援機能が有効に働いていることと、 ビデオカードの世代間での支援能力の違いはあまりないということだろう。
フルHD動画再生時の平均CPU使用率と最低消費電力
| 動画A | 動画B | 動画C | 最小消費電力 | |
| GeForce 8600GT | 31.72% | 16.54% | 12.32% | 77W |
| GeForce 9500GT | 31.47% | 14.57% | 10.22% | 82W |
| RADEON HD 4670 | 26.86% | 14.51% | 8.20% | 74W |
| RADEON HD 3650 | 25.91% | 12.73% | 9.19% | 81W |
| RADEON HD 2600XT | 31.21% | 10.92% | 8.81% | 77W |
動画A:ブルーレイディスク版「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」
動画B:SONYのHDR-SR12で撮影したH.264/MPEG-4 AVCのフルHD動画
動画C:CASIOのEX-F1で撮影したH.264/MPEG-4 AVCのフルHD動画

メジャーなゲームベンチマークソフトの12種のスコアのすべてにおいてRADEON HD 4670が最も良い値を出し、 2番目に良い結果を出したGeForce 9500GTに対してもRADEON HD 4670は平均して1.4倍程度の差をつけ、 他のビデオカードをパフォーマンスで圧倒した。
アイドル時とロード時の消費電力でもRADEON HD 4670が最も優れた結果を出し、 ワットパフォーマンスでも最高となるRADEON HD 4670は性能面で非の打ち所がないビデオカードと言える。
2008年11月20日時点での実売価格を見ると、GeForce 9500GT搭載製品の最安値は7,480円、 RADEON HD 4670搭載製品の最安値は8,280円で価格差は約11%しかなく、GDDR3 512MB搭載モデルでは8,460円と8,280円で価格差がなくなる。 現時点でのコストパフォーマンスもRADEON HD 4670の方が高い。
補助電源が不要なビデオカードの中で最も性能の良い製品を探す場合や、 現在エントリーミドルクラス以下のビデオカードを使っていて何らかの不満を持っている方には、 1万円前後の投資でこれまでにないパフォーマンスを得ることができるRADEON HD 4670を強くおすすめしたい。
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